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ヴァルカンエンジン(Vulcain)は、欧州宇宙機関(ESA)のアリアン5ロケットのエンジンである。 技術的な理由により地上で始動しており、〔アリアン5だけではないが、一般的に液体水素を推進剤とする大推力エンジンでは始動シーケンスが複雑で確実に始動した事を確認してから両側の固体燃料ロケットブースターに点火する。〕離陸時の推力のおよそ10%を生みだし、離陸時の90%の推力を生みだす両側の固体燃料ブースター(EAP または P230)の切り離し後の飛行の第2段階で主に使用される。〔実質的には2段用エンジンともいえる。〕 複数の派生型がある: * ヴァルカン:アリアン5、アリアン5Gと5G + * ヴァルカン2:アリアン5 ECA、アリアン5 ECAは推力増強型である。 頭文字の"V"は開発施設のある''ヴェルノン''(Vernon)に由来する。 == 概要 == ヴァルカンエンジンは液体水素と液体酸素を推進剤として供給されるガスジェネレーターサイクルのロケットエンジンである。燃焼室はチューブウォール(壁面が管で構成されている)構造で内部に冷却材として液体水素が循環する再生冷却である。比推力は433秒である。ヴァルカン2ではノズルが伸展式になっており、膨張比を45:1から53.8:1まで変えることが可能である。その構造上、進展式の下部は従来用いられてきた液体水素を循環させてノズルを冷却する再生冷却を採用することが難しい為、ターボポンプを駆動した後の排気ガスを再噴射する事で炎が直接あたる事を避けるフィルム冷却を部分的に採用している。その為、比推力が初代に比べやや落ち、431秒である。ただし、燃焼圧力の増加と進展式ノズルの採用により膨張比を高める事によって相殺している。アリアン5ロケットの第一段EPC (Étage Principal Cryotechnique,主低温段)の総離床推力の8%を供給する。(残りは2本の固体燃料ロケットブースターから供給)両方のエンジンの燃焼時間は600秒である。全高3 m、直径1.76 mで重量は1686 kgで最新型の推力は137 tである。酸素ターボポンプは3 MWで13600 rpmで回転して水素ターボポンプは12 MWで34000 rpmで回転する。総流量は235 kg/sで水素はそのうち41.2 kg/sである。 担当箇所 * スネクマ(フランス):ターボポンプ、ガス発生器、供給弁; * EADS アストリアム(ドイツ):ボルボ・エアロ(スウェーデン)と燃焼室、MANテクノロジー(ドイツ)とジンバルと耐熱部; * アヴィオ(イタリア):液体酸素ターボポンプの開発 * テックスペース・エアロ(ベルギー):噴射装置の弁、パージ弁と高温ガス弁; * マイクロテクニカ(イタリア):電磁弁と逆止弁; * SPE(オランダ):点火と始動装置; * AVICA(イギリス):噴射系、Devtec(アイルランド)が支援する; 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ヴァルカンエンジン」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Vulcain 」があります。 スポンサード リンク
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